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開設の趣旨

昭和59年に開設した当時の趣旨を転載しました。

 『あかしやこどものへや』は、ご両親と子供達に通所していただいて、子供達の成長を巡る様々な思いを一緒に考えるための場所です。まことにささやかな空間ですが、気軽にお出かけ下さい。

 子供さんの年齢、障害名、現在の所属機関等の別は全く問いません。その理由は以下の通りです。

 私達は、誰も皆それぞれの生活体の条件と、生活体を取り巻く状況の中に生きています。

 状況が変われば、生活体もそれに耐える底力の増強を願って、新しいものの見方、新しい姿勢、新しい生活の形を模索しようとします。

 しかし、その模索の過程は必ずしも滑らかに進行するとは限りません。ある子供さんは『頭を叩きながら』、ある子供さんは『バランスを崩して揺れながら』、ある子供さんは自分の気持ちを他者と共有するための自分なりの『ことばを探しながら』、私達の目から見ると『こだわり』と『とどこおり』を携えて、必死に生活の調整を図る様子を示してくれます。

 どうやら、人は皆、閉じたり開いたりしながら、遅く遅く、しかし確実に自分を高めていくもののようです。

 そうしてみると、私達の目から見ると『遅い』あるいは『奇異』に見える子供さんの行動のひとつひとつは、本当は実に素晴らしい意味を秘めているはずです。

 たとえば、やむを得ぬ条件によって、ずっと頑張って寝た姿勢を続ける子供さんが、少しずつ舌を外界に突き出し、足で輪を描いて自分の空間を広め、そこに徐々に手や目を添えて空間内の『もの』や『ひと』とかかわりながら、やがて少しずつ姿勢を起こし、その姿勢から自分の新しい生活の空間と新しいものの見方を築いていく様子は、人にとって『姿勢』とはなにか、人にとって『生活空間』とはなにかを、根本から問いかけてくれるように思います。

 また、たとえば目の見えない子供さんが、指を『目』にして直接さわりながら手探りで築き上げた世界には、私達の知らない『もの』の微妙な性質や、『風』の動きや、『人』の肌触りが豊富に詰められているのに違いありません。

 ふらふらと動き回るようにみえる子供さんは、その動きの内容を我々に分かるように説明してくれませんが、我々が努力してその子供さんの『ものの感じ方』を知ることが出来たとき、今まで意味なく動き回るようにみえた子供さんの動きのひとつひとつが、実は素晴らしい調整の努力の姿であることに出逢います。

 偉大なエネルギーをもって爆発する子供さんは、すでに『もの』や『ひと』を感じることの出来る子供さんであるのに違いありません。そして、その爆発の極みから、なお新しい生活の形を待ちわびているようにみえます。

 そうして、遅くてもゆっくりと確実に作り上げた生活の形をまた壊し、また創る。 見えなくても『生き生きと見る』、聞こえなくても『生き生きと聴く』、歩けなくても『生き生きと歩く』、‥‥そういうことが、ありそうに思います。

『あかしやこどものへや』のスタッフは、微力ではありますが、そうした子供達が随所に示す生活の調整の姿にふれながら、そこからあふれ出る「言葉によらないことば」をまず受け止め直し、それを土台にして、子供達が新しい生活の形を探し当てて、小さくうなずくための『お手伝い』をしたいと考えています。

 そして、そう考えれば考えるほど、子供達がその時々に示す「とどこおり」は、実は我々もこれから乗り越える壁であり、乗り越えるごとに我々も子供達のおかげで少しずつ成長できそうな気がしております。
 
 そうした『かかわり』にとって、年齢や、診断名や、現所属機関等は問題になりません。遅いとか、早いとか、そういうことはどうでもいいです。

 むしろ、人が一生『探し』『見つめ』『比べ』『選び』『見つめ直す』、そういうことのくり返しの過程を大切にしたいと思います。

 どうか、そういう場所として『あかしやこどものへや』をご利用下さい。 

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